ハリウッド映画『007』とクラレット
1971年公開の映画『007』シリーズ第7作目の「007/ダイヤモンドは永遠に」で、ショーン・コネリー扮するジェームズ・ボンドの船上でのディナーシーン。
ソムリエがボンドに1955年もののシャトー・ムートンロートシルトを勧めます。しかし、ボンドは「料理に合わない」と言い、「”クラレット”が良い」と要求。それに対してソムリエは「当船に″クラレット″は用意していない」と言ってしまい、ボンドはそこでソムリエが刺客である事に気付くのです。
さあ、オチが分かりましたでしょうか?
また最近のダニエル・クレイグ版007にも豪華列車の食事シーンで偽ソムリエが殺し屋であることを見破るのにこの”クラレット”と言う言葉が使われます。
ボンドから「ワインは”クラレット”をくれ」と言われた事に対し、偽ソムリエは「この列車には”ボルドーワイン”しか積んでおりません」と間抜けな返事をしてしまうのです。
“クラレット”の正体
からくりは何かと言いますと、この “クラレット” とは、「ボルドーワイン」を意味しているのです。
”クラレット”、積んでいますよね?
偽ソムリエがショーン・コネリー扮するボンドに勧めたシャトー・ムートンロートシルトは、ボルドーワインです。ボルドーワインを勧めておきながら「“クラレット”はない」つまり「ボルドーワインはない」と答えているのです。
12世紀ごろのボルドー地方はイギリス領でした。当時その地域で作られたワインは英語で”クラレット(ラテン語由来)”と呼ばれていました。現在と違って、まだ醸造技術も発展途上だったため、ワインの色は淡い赤色でした。
余談ですが、最近の新世界ワインにもボルドーブレンドの意味合いで”クラレット”と名付けられたワインが有ります。また、ウイスキーにも「クラレットウッド・フィニッシュ」やブラケットライトのシェードの色合いにピンク色を指す”クラレット”という表現があります。
この”クラレット”と言う単語は覚えておくと役に立ちます。ボルドーワインやその淡い赤色を意味すると覚えておくと色々な場面の理解に便利です。
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